税務辞典
税務小六法では、会計・税務に関わる基本的な制度から耳より情報まで幅広くご紹介しております。
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相続税



・平成23年税制改正 相続税改正案

平成22年12月16日に平成23年度税制改正大綱が公表され、相続税は格差是正と富の再分配機能の回復を図る観点から、課税が強化されることになりました。
しかし、通常なら税制改正は3月までに成立し4月から施行されますが、平成23年度はねじれ国会や震災の影響等により、税制改正大綱どおりに成立していません。また、平成24年度税制改正についても、引続き実施は見送られる予定です。よって、下記の改正案が今後施行さるるかは不透明な状況となっておりますが、相続税は今後課税が強化される方向性であることは変わらないと考えられるため、改正前に適切な相続税対策を行うことが望まれます。

主な改正内容は以下のとおりです。

(1)基礎控除が4割縮小

基礎控除は従来の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられます。
よって、相続人が3人の場合、8,000万円以上の遺産がなければ従来は相続税はかかりませんでしたが、改正後は基礎控除が4割引き下げられるため、4,800万円以上の財産があ れば原則として相続税が課税されることになります。当該基礎控除の引下げにより、相続税がかかる人の割合は約4.2%から倍増する見通しです。

(2)最高税率が50%から55%に引上げ

相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられます。また、税率区分は現状の6段階から8段階に変更され、6億円超の遺産に最高の55%、2億円超3億円以下には新たな税率区分として税率45%が設けられました。
税率の新旧比較表は下記に記載しています。

(3)生命保険の控除制限

生命保険金は「法定相続人×500万円」の非課税枠がありますが、今後、控除が認められるのは法定相続人のうち、未成年・障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一の相続人に限られることになります。よって、亡くなった親から独立した子供などには非課税枠がなくなることになります。

(4)相続時精算課税贈与制度の対象者拡大

相続税精算課税の受贈者に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人のみ)が追加され、贈与者の年齢要件も65歳以上から60歳歳以上に引き下げされます。

このように、平成23年度の相続税改正は、課税対象者が大幅に増える内容となっており、従来であれば相続税申告が必要なかった方でも該当する可能性があります。一度、相続財産を洗い出して相続税がかかるか調査し、相続税対策に要否を検討してください。



<相続税・課税ベースの見直し>


現行 改正案
基礎控除 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数 3,000万円+600万円×法定相続人の数
死亡保険金の非課税枠 500万円×法定相続人の数 500万円×法定相続人(未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る)の数

 (例)基礎控除額比較

  相続人1人・・・現行 6,000万円  改正後 3,600万円
  相続人2人・・・現行 7,000万円  改正後 4,200万円
  相続人3人・・・現行 8,000万円  改正後 4,800万円
  相続人4人・・・現行 9,000万円  改正後 5,400万円

  

<相続税・税率構造の見直し>


現行 改正案
課税財産(基礎控除後) 税率 控除額 課税財産(基礎控除後) 税率 控除額
1,000万円以下 10% 1,000万円以下 10%
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円 1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円 3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円 5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超3億円以下 40% 1,700万円 1億円超2億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円 2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

(例)相続税の総額比較


 【相続人は3人(配偶者+子2人)で配偶者の税額軽減を法定相続分まで活用するケース】

  課税財産8千万円・・・現行 ゼロ  改正後 175万円
  課税財産1億円 ・・・現行 100万円  改正後 315万円
  課税財産2億円 ・・・現行 950万円  改正後 1,350万円
  課税財産3億円 ・・・現行 2,300万円  改正後 2,860万円
  課税財産5億円 ・・・現行 5,850万円  改正後 6,555万円
  課税財産10億円 ・・・現行 1億6,650万円  改正後 1億7,810万円
  課税財産20億円 ・・・現行 4億950万円  改正後 4億3,440万円

 【相続人は3人(子3人)で配偶者はいないケース】

  課税財産8千万円・・・現行 ゼロ  改正後 330万円
  課税財産1億円 ・・・現行 200万円  改正後 630万円
  課税財産2億円 ・・・現行 1,800万円  改正後 2,460万円
  課税財産3億円 ・・・現行 4,500万円  改正後 5,460万円
  課税財産5億円 ・・・現行 1億1,700万円  改正後 1億2,980万円
  課税財産10億円 ・・・現行 3億1,900万円  改正後 3億5,000万円
  課税財産20億円 ・・・現行 8億1,9000万円  改正後 8億5,760万円




<贈与税・税率構造の見直し>


【20歳以上の者が直系尊属(両親、祖父母、曾祖父母)から贈与された財産に係る贈与税の税率構造】

現行 改正案
課税財産(基礎控除後) 税率 控除額 課税財産(基礎控除後) 税率 控除額
200万円以下 10% 200万円以下 10%
200万円超300万円以下 15% 10万円 200万円超400万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円 400万円超600万円以下 20% 30万円
400万円超600万円以下 30% 65万円 600万円超1,000万円以下 30% 90万円
600万円超1,000万円以下 40% 125万円 1,000万円超1,500万円以下 40% 190万円
1,000万円超 50% 225万円 1,500万円超3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

 贈与税額比較

  500万円贈与・・・・現行 53万円   改正後 48.5万円
  1,000万円贈与・・・現行 231万円  改正後 177万円
  1,500万円贈与・・・現行 470万円  改正後 366万円
  2,000万円贈与・・・現行 720万円  改正後 585.5万円



【上記以外の贈与財産に係る贈与税の税率構造】

現行 改正案
課税財産(基礎控除後) 税率 控除額 課税財産(基礎控除後) 税率 控除額
200万円以下 10% 200万円以下 10%
200万円超300万円以下 15% 10万円 200万円超300万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円 300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円 400万円超600万円以下 30% 65万円
600万円超1,000万円以下 40% 125万円 600万円超1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超 50% 225万円 1,000万円超1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

 例)贈与税額比較

  1,500万円贈与・・・現行 470万円  改正後 450.5万円
  2,000万円贈与・・・現行 720万円  改正後 695万円


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